百合とBLのクィアベイティング性について(その1-①)【配信再録】

 まだ、あのー薄暗いままです。なんかね新しいライトつけるのはちょっと怖いので、薄暗い感じなんですけど。
 なんとかキッチンの方とかユニットバスから漏れてくる光を下にお話ししております。コメントしても差し支えない人は「聞こえてる~」とか教えてください。

 前々からちょっとクィアベイティングの話はしたかったんです。これ話そうと思ったきっかけが、多分半年以上前になると思うんですけれど。あのポカリスエットのCM、結構話題になったことがあるじゃないですか。あの結構セットにもお金かけてて。女の子が、まあポカリスエットといったら女子、女子高生。制服女子高生ですよね。その制服の高校生と思しき子がお花ざかりの学校の中を走って行って。最後に体育館かなんかなんかで女の子同士、手を取り合ってくるくる回ってEND。というのがありました。それをツイッター上でゲイの男の子と「なんかあれいいよね」って話した時に、私は「ちょっとあれ微妙なんだよね」、「ちょっとクィアベイティングじゃね」みたいな話になって。それはその時でふわっと終わっちゃったんですけど。

(あと喋りやすいので、適当にコメント入れてくれたほうがありがたいです。最近、某Mちゃん、ツイッターで相互フォローしてて、ゲーム配信してるんですよね。で、私一人がこうやって配信してる時にコメントあったほうがやりやすいからと思ってコメント入れるんです。けど気がつくとね、だーっとね十何行以上下手すると数十行私のコメントだけで。「これちょっとやばいんじゃないか」と思っていて。この間、Mちゃんと会う機会があって。どっちかって言うと呼び出し、って感じだったので。あのー何でしょう。えっと、呼び出しで「ちょっとアレだと困るんですけど」とやんわりと言われるのかな。って、ビクビクしながら出かけて行って。別にそれはそうじゃなくて、かわいそうな動物の私にご飯をおごってくれるだけだったんですよ。)

 さて、きっかけのもうひとつ。去年のワタシのプッシュマンガ作品のうちで「作りたい女と食べたい女」ってあったじゃないですか。主人公がまあ古い分類ですけど恐らくレズビアンかなっていう感じ。売れてるいわゆる「百合」っていうカテゴリの中では久しぶりにこう「Lのためのマンガ」と感じられるものだったんですよね。ただフォロワーさんに指摘されたんですけど以前に書いてたのがBLで、セックス描写とかもかなりあって「ゲイ表象をちょっと性的消費してる部分が強いんじゃないか」っていう指摘をされて。
 あの作者(ゆざきさかおみさん)トータルとして(過去にさかのぼって別作品も含めて)100%罪がないって変なんですよね。あり得ない。あの作品(「作りたい女と食べたい女」)でも100%政治的に素晴らしく誰も傷つけない表現っていうのはちょっと無理ですよね。で、その上でどうしたら……あの安っぽい言い方なんですけど、「より良い表現」ににじり寄るれるのか。を、考えたい。なんか簡単に「そっち」(ポリティカリーコレクト100%)に「ハイ、行きます!」みたいにはならないので。
 「にじり寄る」って言葉をね、考えたい。

ちょっとカフェラテでも飲みながら話していこうと思います。

 今日は「100%の表現」ってないよね、っていうのと、どうやったらその「より良いっていう表現」ににじり寄れるのかということを前提としつつ(クィアベイティングの)話をしたい。ので、今日はたぶんその1で終わっちゃうと思います。
 これはシリーズでパート3くらい行くかなって感じです。

 実は去年、結構本を処分しちゃったんです。なので本当はこの話も実際に持ってるマンガとかを例に取りつつ話せたら良かったんですけど。手元に残るのって表現としてより良いポリティカリーコレクトな方のマンガなんですよ。ウェブで売れてるとか、店頭で平積みになってたとか、ちょっとエッチそうとか。そういうフックで買った本って残らないので。今、私の書棚にあるBLは優等生な感じなのだけが残っています。「ちょっとあのー、これは駄目なんじゃない?」って批判っていうか対比させるために。「これは同意なしのセックスとかポリティカリーコレクトとして弱いんじゃないの?」っていうものとして実際に提示できたら良かったんですけど。またの課題で。

 でですね、話は元に戻るんですけど。「百合」のクィアベイティング性。この話をするときツイッター予告でキュキュッと「クィアベイティング」って書いちゃったんですけど。なんか一般的な検索したら、日本語でまとまって「これがクィアベイティングです」っていうの解説を見つけられなかったんですよ。(論文検索ならあるかもしれない)
 どっちかっていうと海外のセレブニュースみたいなやつの中で、セレブが軽率にやった「女同士でキスしてみた」が非難される時にクィアベイティングだって言われるのを見かけるかなと。ワタシなりの解釈だと実際はクィアではないとか、クィアである実態?が全くない人とかが商業的にクィアであることを匂わせたりする、みたいなことをクィアベイティングっていうんじゃないかなと思ってます。

 もともとなんかベィティングっていうのが何でしょう。釣りのルアーとかのウニャウニャウニャウニャってなってるやつをベイトって言うじゃないですか。ああいう「おびき寄せる」ようなものの事いうみたいなんですけど。というのが大前提にしてて、ワタシのこの解釈もしかしたら間違ってるかもしれない。(ごめんなさい)
 なんか日本で、まとまった用例がなんか見っかんないんですよね。
そもそもなんかクィアという言葉自体がまだ浸透してないっていうか。クィア自体が……定義。こういうものに定義ってね。もともと変態って言葉ですから。変態にね、かっちりした定義がないんですよ。
 なのであのクィアベイティング自体も、あんまりかっちりした定義が馴染まない言葉かなとは思います。


 まあなんですよ。一昔前のt.A.T.u.みたいなもんだと思えばいいと思います。で若者はt.A.T.u.知らないよね。あのロシア初?のあのクィアベイティングガールズ2人ユニットです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/T.A.T.u.

 クィアベイティングなんですけど。ポカリスエットのCMとかを例にとっても、あの「百合」っていうあの装置で消費者を引き付けるっていうことは割とカジュアルにされてると思うんです。最近ワタシのアンテナでちょっとざりざりざりってちょっと嫌な音を立てたのがそのポカリスエットのあのクルクル回るCMだったんですね。その百合がそういうふうにクィアベイティングである……。これをクィアベイティングって言っていいのかどうか、っていうなあの議論もありと思いますけどそれはとりあえず置いといて、ワタシの中でクィアベイティングなのでちょっと話を先に進ませます。
 で、男の子同士だとそういう風に同性愛のような姿を借りて、ポカリスエットのCMで出てくるっていうことがまあないですよね。その時ワタシの相互フォローさんもが言ってたのは「男子高校生というと洗濯物がいっぱいで、とにかくたくさんご飯を食べるだけで。なんか男子高校生だってクルクルしてもいいじゃないか!」って。ワタシはなんかそうだそうだって「男子もぐるぐる回れ!」って感じでしたが。
 実際にくるくる回るのって女の子二人なんですよね。くるくる回るだけなのでこう百合とかガールズラブみたいな言葉はCMの中では一切使われていないですけど。
ただ、視聴者は勝手に女の子同士の友情だと受け取ったり、勝手にレズビアンだと思って勇気付けられたり。若くてきれいな女の子二人の表象。そういう同性愛的な表象って、絵になるっていうか……。なんか金になるんだなって。金になるんだなって(2回言った)。つくづく思いました。
 そして、その類のきれいな表象が「百合」っていうジャンルの中で、どんどん強化されていると思うんです。百合っていえば女性間の同性愛的な表象である。っていうのを社会的な「LGBTとか言われるような人・もの・動き」とかと結びつけない傾向がすごく強くなってきてると思うんですね。

 でも結局は「百合」って女性間同性愛表象を使っちゃってるっていうのは事実です。
なんかそれは美しいカップルだろうとワタシみたいな50代シングルなワタシも同性愛表象。表象の一部ではありますし、間違いございません。

 で、どう転んでも「百合」は同性愛表象であることには違いがないと思うんですよね。で、オタクっていうかそういうフィクションの物語を好む人がよく言うのが「ファンタジーと現実は別物」っていう言い方をするんですけれども、じゃあ何で現代日本の実際にあるようなあの書割めいた、あの物語の組み立てで、実際にいる女性二人のような姿を借りてあの表現をするのだろうか?っていう。
「好きだから理由はない」ってというかもしれないですが、好きだったら、好きだからこそ、そこに絶対理由があるんですよ。うん。

 で、ポカリスエットのCMね。フォロワーさんの周りでも議論してました。そういうのがどんどん表に浮かび上がってくればいい、みたいな。ワタシの観測範囲が悪いのかもしれないけれど、そういう議論があんまり表立って議論されなくって。なんとなく「いいCMでしたね!」で終わっちゃって。「えー!?」みたいな。

 で、元に戻ります。
 ファンタジーだろうと何だろうとやっぱり同性愛表象っていうものを使ってるのは違いがない。現実とやっぱり繋がってるんですよ。ワタシはね、一時期まではツイッターのトピックをフォローすると自動的にそれに関連するツイートが流れてくるっていうのあるじゃないですか。それで一時期ちょっと「百合」っていうのをフォローしてたんですけど。もう「ヤバいね。気持ち悪いね」みたいなが多くて。
 気持ち悪いっていうのって、別にあからさまなセックスシーンがあるとかじゃなくて。これが男女間だったら超ドン引きみたいなやつが普通に消費されていて。


 例えば「女性上司と」って。これも女性上司っていうのは変な言葉。男性の上司って無徴なんだけど上司に女ってつけないと、それを表せないっていうの。すごくあの女上司ってのはジェンダー的にね興味深いというか、あのアレなんだなっていうふうに思うわけなんですが。

 また話がずれました。
 その女上司と新入社員みたいな関係性でその上司の方がその権力を盾に取って、一緒のプロジェクトになるように仕組んだりとか出張で「あっ、間違えちゃった」とかってツインやダブルの部屋になるように仕組んだりとか。いやマジで気持ち悪いじゃないですか~。
 あと学校の先生と生徒とかね。権力の濫用以外にも「普通に犯罪ですよ」みたいなやつが多い。人並み外れて執着心が強い、ストーカーみたいな。気付かれてないだけのストーカーみたいなのが「純粋で一途な女の子」っていう描き方されて。「百合って無法地帯!」と思えるようなのが散見されてしまって。


 それから「女からセクハラするなら大丈夫だよ」みたいな作品ね。ちょいちょいありますよね。

 そして、百合は女なら(セクシャルハラスメントも)無罪っていうのを、かける、女の二乗みたいな感じで、ヤバさも二乗!もろに犯罪!みたいなのがありますよね。例えば、「酔っぱらっているから持ち帰りOKでセックスもOKだよね」、って……OKなわけあるかああ! でも本当そんなんですよ。
 もう百合、犯罪行為が横行しています、百合創作。そういうのをね見慣れると界隈そんなもんだからいいんだみたいな感じになっちゃうかもしれないですけど。いやいやいやいや。表象(に参照)されているこの現実の生身の人間たちってどうなのよ、と。

 百合って「百合姫」とかがね、「百合姫」じゃない。創刊する前に「百合姉妹」ってあったんですよ。4号だけで終わったけど。あの「百合姫」が創刊された頃とかって、当時当事者の作家さんがいたんですよ。そうするとまあ表現も当事者が読んでもキモくないっていうか、勇気づけられるような、「こんなのあるある」みたいな話。そういうのがあったんですよ。うん。
 それが「百合姫」も時代が下ってくるにつれて変わってきて。戦犯は基本的に「百合男子」だと思ってるんですけど。男子目線の「百合」も増えてきて。最近はホントにキャラクターがめちゃめちゃ「バ美肉」なんですよ。あのバ美肉って言ってもワタシのフォロワーさんだと知らない人がちょっと多いかもしれないですけど、「バーチャルで美少女に受肉」の略で。美少女のアバターでVチューバーするとか。(見た目美少女だけど)中身はおじさんだったりするのです。
 百合をやってるんだけれども行動原理とか言動がめちゃめちゃおじさんが女子高生というスキンをかぶってくちゅくちゅイチャイチャしてる、っていうね。……イチャイチャの前にクチュクチュって言っちゃった。

 なんかさあ、もうさ、おじさんなんだよね。ほんとね、女子高生同士なのに何でこんなにとってもバ美肉おじさんなんだろう……みたいな作品が。増えたなと思ってます。あとはR18でもないのに百合はカジュアルにエッチなものだからみたいな感じで。ストーリーの中で「ちょっと早くない?」という段階でエッチなことをしてラストにもう一回みたいな。いやいやいやいやいや、せめてR18にして。みたいな感じなんですよね。(エッチを描くことは否定しません。キリッ)
 バ美肉に限らず界隈で好まれる表現っていうのがあって、こないだ「百合姫」の初期くらいの頃から描いているあの漫画家さんがいて、絵柄変わったの。前はしゅっとした感じの等身の高い感じの絵を描いてた人なんですけど。丸っこくなってて、めっちゃ巨乳になってて、顔の造作とかもちょっと幼くなって。えーこの人こんな絵を描くようになったんだって驚いて。ちょっとね、怖い感じがしました。

→1時間半話したうちのアタマ30分。 2022.3.21配信

 あまりにも本筋から外れた脱線の省略、話を追うのに必要な補足、話の筋の錯綜の編集、冗漫な繰り返しの削除など、手を加えております。話の途中なので伏線回収もあるよ。
 まだまだ続くよ!

追記:「作りたい女と食べたい女」はポリティカリーコレクトに寄ってるがゆえにいろんなものを背負わされすぎだと思います……。